【上海】武康路を散策してきた

先日、仕事の都合で上海へ出張してきました。今回が人生初の海外出張だったのでワクワクしていたんですが、残念ながら観光できる時間はほとんどありませんでした(泣)。やっぱり旅行とは全然違いますね。完全に、日本でやっている仕事をそのまま海外に持って行って、終わったら帰るって感じでした。観光らしいことができたのは、最終日の午前中のみです。

その限られた時間に訪れたのが、フランス租界エリアにある「武康路(ウーカンルー)」。この通りがとても印象的だったので、記録としてご紹介したいと思います。

このページを見ている方々はもうご存じかもしれませんが…

租界地域について簡単におさらい。

1842年、アヘン戦争の終結により「南京条約」が結ばれ、中国(清)はイギリスに対して上海などの港を開くことになりました。翌1843年には上海が正式に開港され、外国人が住んで貿易できるようになります。

さらに1843年の「虎門寨追加条約」により、イギリス人が開港場内で土地を借り、独自の建物や施設を建てられることが認められ、1845年、上海でイギリスとの間に「上海土地章程」が結ばれ、最初の租界が誕生しました。

その後、フランスやアメリカも租界を設置し、1863年にはイギリスとアメリカの租界が合併して「共同租界」が成立しました。租界は外国人と中国人が共存する特別な地域として発展しました。

武康路は、旧フランス租界に位置する全長約1.2kmの石畳の通りです。

通り沿いには、西洋建築や「老上海」の趣を感じさせるレトロな建物が立ち並んでいます。

西洋と東洋が混ざり合った風景は、どこかジブリ作品を思い出させた。

ここは、かつて多くの文化人や外国人が暮らしていた歴史ある場所で、現在も内覧可能な旧邸宅がいくつか残されています。

武康大楼(旧ノルマンディーアパートメント)

武康路の散策はこちらからスタート。

言うまでもなく、武康路のランドマーク。ノルマンディーの名の通り、第一次世界大戦時代の軍艦「ノルマンディー号」を記念して建てられ、船の形にも見えます。

1924年に建てられた歴史的建築で、場所は武康路の南端、淮海中路の交差点にあります。

この交差点には写真を撮る人たちが溢れかえっていました。平日だったのでなんとかなりましたが、休日にはとんでもない人混みになりそうな予感。

チェキ・ポラロイドでこの建物を背景に写真を撮ってくれるサービスをしているおじさんたちの姿を何人か見かけた。

内側からのぞいてみると、実際に住んでいる人もいるようです。こんなにカメラ向けられたらカーテンなんて開けられた物じゃないですけど。

上海は中国の中でも特に流行やファッション、文化的な発信地というイメージがある。この建物は元々外資系企業の西洋人社員のために作られたものだったけど、その後中華民国時代の映画産業の中心だった上海で、多くのセレブリティや文化人がこぞって住むようになったとか。

イタリア領事館

武康路390号にある元イタリア領事館。地中海式の建築は上海では珍しいです。こちら写真撮るのを忘れてしましましたが、地中海を思わせるホワイトカラーが印象的でした。

Former residence of Italian consul

Hecuba’s Story — Former residence of Italian consul by Anne Holmes is licensed under CC BY-NC-SA 2.0.元画像URL


他にも文化人や歴代の総理大臣の旧邸宅も多く残されており、内覧可能な場所もあるので、訪れる際はぜひチェックしてみてください。

穏やかな道と不穏な時代の記憶

先ほど紹介した武康大楼(旧ノルマンディーアパートメント)ですが、文化大革命(1966~1976年)の間には地元民の間で「飛び込み台」と呼ばれていました。国家の敵といわれた知識人達は迫害され、この建物から自死が後を絶たなかったためです。

毛沢東と関係があるとされていた映画女優、上官雲珠も1968年11月、紅衛兵から激しい暴行を受けた後に飛び降り自殺したといわれています。今でも、マンションでは彼女の幽霊が出るとの噂も。

武康路40号は民国第1任内閣総理、唐紹儀の旧居。ここは彼が暗殺された場所でもあります。

こうした出来事からもわかるように、武康路周辺には単なる観光スポットとは異なる、時代の記憶が穏やかに息づいている場所です。

この辺りは元々海外の領事館が多い地域で、格式の高いエリアでした。(東京でいう、広尾みたいな感じ?)近年は瀟洒なカフェやレストランも増え、観光客や地元民も利用するようになり、賑やかな通りになったようです。

中国でよく見かける上海創設のチェーン店「MANNER COFFEE」、武康路にもありました。

10元(200円ほど)のスペシャリティコーヒーを販売しているスタイリッシュで高コスパのチェーン。

SunFlour(サンフラワー)

SunFlourは大人気のベーカリー。その名の通り太陽をふんだんに浴びた小麦で作られるパンがとてもおいしかった。値段は30元〜(600円〜)くらいと日本と変わらないかそれ以上の値段がした。空港までのタクシーで食べるためにテイクアウト。

中国のスイーツは基本的にビター。甘めを頼んでもそれなりに大人の味がする。

4月下旬の上海は心地よく穏やかな気候で、散歩には最高でした。日中は少し暑いくらいだったのですが、プラタナス並木が続く木陰は涼しく感じられました。

瀟洒なカフェやユニークな雑貨、センスの良いお土産を探している人にもおすすめ。中国の花や草、動物など、自然をモチーフにした押し花のような栞が売られているお店もありました。

この地区は基本的に個人経営のお店が多い印象でした。Mazzy Starの音楽が流れるインディペンデントなカフェや、個性的でカラフルなアイスクリーム屋さんも見かけました。

今回は出張の合間に通り過ぎるだけになってしまいましたが、次回訪れる機会があれば、おすすめのカフェや歴史的建築を実際に訪れて、詳しく記事にしたいと思います。

とはいえ、次にいつ訪れることができるかは分かりませんけど。またいつビザ申請が必須になるかわからないので、気軽に行けるのは今のうちかもしれません。